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【インタビュー記事】 
AIを駆使したプラットフォームで病理学者の意思決定をサポートするDeePathology.aiのテクノロジー

病理学者は、病理学という医学における1つの分野で研究を行い、病気が発症する原因や発症するまでの過程を解明するという重要な役割を担っている。病気の発症原因やその発症メカニズムを解明するために、病理学者は莫大な研究素材を準備した上で長い時間をかけて研究した後、その病気の発症原因等を確定する意思決定を行う。病理学者の研究の為に、彼らの意思決定プロセスをサポートするサービスを提供するスタートアップ、DeePathology.aiの共同創立者兼CEOであるChen Sagiv氏にインタビューを行い、AIを使用したプロダクトとそのサービスの実態や日本市場への参入についてお話を伺った。

-DeePathology.aiが設立された経緯をおしえてください。

私は前職でSagivTechというスタートアップを設立し、コンピュータービジョン、ディープラーニング、コード開発の分野で事業を展開する研究開発プロジェクト会社を経営していました。 過去2年間、SagivTechは、病理学へのAIの適用に関して製薬会社であるRocheと協力していました。 その協力関係の中で生まれたプロジェクトの成功により、SagivTechはRoche初のデジタル・ヘルスアクセラレーターに招待されました。 DeePathology.aiはそのアクセラレーターへの参加をきっかけに設立されました。共同創立者兼CEOの私と共同創立者兼取締役会会長のNizan Sagiv氏、共同創立者兼CTOのJacob Gildenblat氏で設立されました。

-DeePathology.aiが開発したプロダクトについておしえてください。

弊社のサービスの中核を担うプロダクトであるのがID DeePathology STUDIO ^™です。 これは、病理学者や研究者がAIテクノロジーを使用する上で必要になる専門知識が持たずして 独自のアルゴリズムを作成することが可能です。使用方法もシンプルで、研究者はID DeePathology STUDIO ^™のAIシステムに彼らが探しているもの、例えば癌の原因になりうる物質をシステムに入力します。その後、システムは与えられた例を基にして、病理学者が発見したいものをインタラクティブに学習します。病理学者や研究者から与えられたデータを学習しその結果を提供するのはこのシステムですが、データを用いてあらゆる意思決定をするのは依然として病理学者本人たちになります。実際の事例をお伝えすると、胃や十二指腸の炎症やがんの原因になりうるヘリコバクターを見つける時、病理学者や研究者が目で見て判断するとなるとかなりの時間を要することになります。そこで、我らのプロダクト機能の1つである画像管理システムを用いてヘリコバクターを見つけます。

<システム使用時の様子>

DeePathology.aiとして我らのプロダクトであるID DeePathology STUDIO ^™を通じて解決したい課題は様々です。先ほどもお伝えしましたが、病理学者や研究者がこのシステムを使うことで意思決定システムを作成することで、彼らがあらゆる病気やその原因についての意思決定を下すのをこのプロダクトが助けることができます。それに加えて、各病理学者や研究者が持っていない医療データを追加で入力しそのデータを活かした意思決定ができるので、より多くのデータを用いて、より早く意思決定をすることができるようになります。また、病理学者の数は減少している傾向にありあるので、病理学者自身が時間をかけて分析を行うことは避けたい事実です。病の症状や原因を特定することは医者と患者の利益になるだけではなく、医薬品の開発やそれらの医薬品を販売する薬局にとっても有益に働きます。時間がかかる分析をAIテクノロジーで自動化することで、病理学の可能性は広がり、医師は時間を無駄にすることはなくなるでしょう。

<DeePathology.aiのプロダクト紹介ムービー>

-これまで日本の市場に参入しようとお考えになったことはありますか?

日本におけるヘルスケア市場は、私たちにとってとても興味があります。その中でDeePathology.aiにとって興味深い出来事がありました。

<カンファレンスでの展示>

私たちが東京を訪れた時、ある企業の方とお話をしました。個人的な印象としては、日本企業は革新的なソリューションを探しているという印象を受けたのですが、その一方で、彼らは私たちが提供するプロダクトの技術に信頼性があるのかどうかを確認したいのではないかという印象も受けました。

革新的で信頼性が高いことに加えて、実行可能な確かな技術を誇るプロダクトを開発する為には、長い時間をかけて開発作業や実証実験を行う必要があります。私たちは、私たちのプロダクトに誇りを持っていますが、私が感じた印象から日本市場を見てみると、我々の技術の信頼性を証明する為の実証実験などを日本国外で行う必要があるのではないかと考えさせられました。

ヘルスケア技術は、新しい技術を公衆衛生に適応させる際に信頼できるものでなければなりません。数千人の公共の人々への影響が大きい分野であるヘルスケア分野において、開発側と実装側の異なるセクター間でお互いに示される敬意が今後の発展において重要なことなのではないかと思います。

私たちのプロダクトが日本市場に浸透することで、大成功を治めることができる日を期待しています。

インタビュイー・プロフィール

<チームメンバーとChen氏>

Chen Sagiv氏(写真右)

応用数学の博士号を持つ。Nizan Sagiv氏と機械学習やコンピューターヴィジョンを扱うスタートアップ企業、SagivTechを2009年に設立。2018年にNizan Sagiv氏とJacob Gildenblat氏と3名でDeePathology.aiを共同設立した。

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