*この記事はNoCamels.comの記事を日本語に翻訳して作成しています。
1. 治療抵抗性を抑えたより優れたがん個別化医療の研究
日進月歩のがんの薬物療法であるが、治療の効きやすさは同種類のがんであっても患者ごとで異なることがある。同じ患者でも治療開始初期は効いても次第に抵抗性が増し効かなくなることがある。
ここに注目したTechnion Integrated Cancer Center長、OncoHostの創業者Yuval Shaked氏は、現在ある治療の患者ごとへの効果、影響を分析し、より優れた個別化治療の発見に取り組んでいる。
血液検査を通じて、免疫療法で治療された患者の転帰を予測し、治療が効果的であると予想される患者にのみその治療を継続させるというものだ。
現在の研究に基づいて、将来的には、併用して治療の有効性を高める治療を開発することや、現在免疫療法に反応しない患者がそれらに反応できるようにすることができるかもしれない。
2. 画期的ながん放射線治療を開発したAlpha Tau Medical
同社が開発したAlpha DaRT (Dіffusіng Alpha-emіtters Radіatіon Therapy)は、放射性物質が崩壊するときに放出される高精度のアルファ線を腫瘍内で放出し、周囲の正常組織を温存しながら癌細胞を殺すというものだ。
最初の臨床試験はイスラエルとイタリアで2018年に開始された。この試験は、皮膚と頭頸部の扁平上皮癌患者に対するAlpha DaRT技術の安全性、実現可能性、および有効性を確立するためのものだった。
International Journal of Radiation Oncology、Biology、and Physicsで発表されたこの結果では、28人中78.6%が何かしら治療の効果を受けた。
3. 膵癌細胞の自己崩壊をトリガーする分子を発見
マウス内でPJ34という小さな分子がヒトの膵癌細胞の自己崩壊をトリガーするという研究結果が昨年末に報告された。
この研究は、テルアビブ大学サックラー医学部のMalka Cohen-Armon教授のチームが、Sheba Medical Centerの癌研究センターのTalia Golan氏のチームと共同で行い、ヒト膵臓癌細胞の移植を免疫不全マウスにした。
Cohen-Armon教授は、並行研究で他の種類の癌にも効率的に作用し、現在の治療に耐性があるさまざまな癌細胞(乳癌、肺癌、脳癌、卵巣癌)を根絶することも示した。
4. 腫瘍学者がBRCA変異型膵臓癌の新たな治療を開発
3ですでに登場しているGolan氏は現在、予後の悪い進行期膵臓癌やBRCA1、2変異型の膵臓癌の薬物治療を研究している。
BRCA1、2とは腫瘍抑制遺伝子である。つまり、そこに変異を持つと、生涯にわたって癌を発症するリスクが高くなる。この遺伝子は主に乳がんと卵巣がんに関連しているが、いくつかの研究では、3番目に多いがんとして膵がんが挙げられている。
彼女は、生物製剤オラパリブ(商品名リンパルザ)というPARP阻害剤の有効性をテストした。この薬剤は、腫瘍細胞のDNAを修復するタンパク質であるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の産生を阻害する。
彼女の研究はNew England Journal of Medicineに掲載されている。
5. 簡便な血液検査で済む肺がんのスクリーニング
DNA損傷に反応する3つの酵素の血中活性レベルに基づくDNA repair score というものが、コントロール群と比べて肺がん患者で低くなっていることが発見され、これが喫煙と独立して肺がんリスクの強力なバイオマーカーとして確立されるという。
この研究は、ワイズマン研究所生体分子科学部門のメンバーであるZvi Livneh教授とTamar Paz-Elizur教授、ケンブリッジ大学のBruce Ponder教授、Royal Papworth HospitalとCambridgeのRobert Rintoul教授によって行われた。
“DNA-Repair Biomarker for Lung Cancer Risk and its Correlation with Airway Cells Gene Expression”
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