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体外受精にベストな胎芽を選択する人工知能・Fairtility

世界初の”試験管”ベビーであるルイーズ・ブラウンは、1978年に体外受精(IVF)によって誕生した。それ以降、IVFは、採卵手術により排卵直前に体内から取り出した卵子を体外で精子と受精させる不妊治療の一つとして進められてきた。

しかしながら、未だに生殖補助技術のプロセスは経験と主観的な判断に基づいており、その治療結果が素晴らしいものとは言い難い。成功するには、患者一人あたり平均3回のIVFが必要である。イスラエルでのIVFは、2回の妊娠であれば無料だが、ほとんどの国では治療費が高く、例えば米国では1サイクルあたり平均20,000ドルとなっている。さらに、IVFはストレスや痛みを伴う。

2019年にテルアビブで設立されたFairtilityは、最も生存率の高い胚を選んで移植するというIVFの重要なステージを改善する技術を開発している。CEOのEran Eshed氏は2020年にソニーへイグジットした半導体スタートアップAltairを創業した経歴を持つ。

通常、胚培養士は、2個から15個の受精卵を、健康な妊娠をもたらす可能性に基づいてランク付けし、どの受精卵を母体に移植するかを決定する。しかし、画像の複雑さや人間の目では見落としがちなニュアンスの違いがあり、面倒で困難な作業なのでしばしば失敗するプロセスでもある。

Fairtilityはまだステルスモードではあるが、AIとコンピュータビジョンをこのプロセスに応用しており、その移植予測精度は、テストで90%を超えている。現在、イスラエルをはじめとするいくつかの国で試験的に導入されているこの技術は、既存の豊富なデータセットと、さまざまな発生段階の胚の画像を使って訓練され、プロセスの自動化と効率化に貢献する予定だ。

イスラエルにはFairtilityだけでなく、この記事でも紹介したEmbryonicsAIVFなどが、体外受精の成功率を高めるために胚培養士の業務をサポートするデータに基づいたAIソリューションを開発している。

 

*ISRAEL21c-Uncovering Israelの原文を読む。