News

イスラエル ヘルスケアスタートアップ資金調達情報・2022年1月編

InsightecがSPACとの合併による評価額を引き下げ

薬剤難治性の本態性振戦およびパーキンソン病の症状の軽減を目的とする医療機器を製造販売しているInsightecは、昨年10月に20億ドルの企業評価額でSPAC(特別買収目的会社)との合併の交渉中であると報告していた。しかし、今年1月には同社に3.1%の出資をしているElbit Imagingは、合併が進む場合は10月に報告したよりも低い評価額になるとテルアビブ証券取引所に通告している。日本にも進出しており、イスラエルの医療機器スタートアップを牽引する存在のInsightecだが、近年ブームが続いているSPACの罠にかかってしまったようだ。

原文:Insightec cuts SPAC merger valuation

 

AI創薬プラットフォーム・Protaiが800万ドルの資金調達

イスラエルのAIを活用した創薬スタートアップ・Protaiは、Grove VenturesPitango HealthTechが共同主導する800万ドルのシード資金調達ラウンドを完了した。同社は、このラウンドの調達資金を、プラットフォームの開発、創薬プログラムの加速、製薬会社とのパートナーシップの強化に充てる予定だ。

昨年設立されたばかりのProtaiは、病気の経過をタンパク質レベルで包括的にマッピングするエンドツーエンドのAIプラットフォームを構築し、細胞機能の観察能力を高めることで、新薬の発見プロセスの改善する。このアプローチにより、Protaiは創薬の精度を高め、開発プロセスを改善し、研究開発の時間を大幅に短縮し、コストの削減を目指す。

原文:Israeli AI drug discovery co Protai raises $8m

 

AI医薬品開発プラットフォーム・Qurisが2,800万ドルの資金調達

AI医薬品開発プラットフォームを開発するQurisは、昨年末に発表した900万ドルを含め、イスラエルにおけるシード資金調達の記録となる2,800万ドルの最終クローズを行ったと発表した。このラウンドは、Welltech Venturesがリードし、iAngelsGlenRock Capitalが参加した。

Qurisは、AIを搭載した小型の「チップ上の患者(複数のオルガノイドをリンクさせたシステム)」のデータとAIとを組み合わせて、臨床試験の失敗によるリスクとコストを回避し、不確実な動物実験への依存問題に挑戦する。薬の開発には25億ドルかかり、その上、ヒトで実験する前に動物実験を行うわけだが、マウスで有効だった薬の89%がヒトでは失敗したという研究結果がある。

原文:Quris closes record $28 million Seed funding for AI drug development platform

 

高齢者向けのヴァーチャルケアプラットフォーム・Sensi.AIが1,400万ドルの資金調達

イスラエルの高齢者向けヴァーチャルケア企業のSensi.AIは、Entrée Capitalがリードし、既存投資家のFlint CapitalHomeward Venturesに加えて、新たにJibe Ventures、Operator PartnersAlmeda Ventures等より、1,400万ドルの資金調達を完了した。

Sensi.AIは、介護スタッフによるケアの質をモニタリングするためのツールと、バーチャルサポートを組み合わせたサービスを提供している。このプラットフォームは、自動音声によってリアルタイムで状況を把握し、患者の感情的・身体的変化だけでなく、インシデントを識別することができる。分析後、介護スタッフにアラートが送信され、治療を大幅に改善することで、患者家族に安心を提供する。

原文:Virtual care for elderly co Sensi.AI raises $14m