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イスラエルの大学留学について知りたい方へ【前編】

「今ね、うちの大学はアジアからの学生を集めようとしてるんだけど、ほんとに日本から来てくれないの!」

これは僕が在籍しているイスラエルのTel Aviv UniversityのアジアデスクマネージャーのDannaとの会話で出て来た言葉。内心、「そりゃそうやろ」とは思っていたのですが、「イスラエルを最も熱く語れる日本人学生(自称)」を代表して、こちらのブログを書かせていただく。

いや、本当に日本人がいないんですよ。(そもそも論としてアジア人、黒人、ヒスパニック系の方をあまり見かけない)先学期なんて僕の大学30,000人中、院生、交換留学生合わせてたったの5人。しかも一回もあったことが無い。恐らく今学期は3人だそう。来い来いというわけではなく、人によってはくる価値があるのに、「情報が無いから」とか「なんか危なそう」だからという理由で来ないというのはすごい寂しい。

現地にいる身としては日々迫り来る危険や治安の悪さみたいなものはあまり感じないし、むしろ色々旅行に行った中でもかなり治安がいい方なのではとも思う。それでもやはり地理的、政治的には穏やかではない地域であることには間違いないし、大抵の日本人がイスラエルに対して抱いているイメージは決して良いものではないというのは理解できる。むしろ僕も来る前はそうであった。しかし、本当はそんなことなくて安全な場所なんだよ!と言い切ることも出来ないし、ここで論じることは趣旨と異なるので控えておく。

目次

イスラエルについて知ってほしいこと

イスラエルの大学の立ち位置・大学は21歳から!?

ヘブライ語なんて知らないよ!という前に

インターナショナルスクールの長所と短所

イスラエルの代表的な大学

    - Hebrew University of Jerusalem

    - Tel Aviv University    

    - Technion- Israel Institute of Technology

    - Ben-Gurion University of the Negev

    - University of Haifa

芸術大学編

    - Shenkar College of Engineering and Design

    - Bezalel Academy of Arts and Design, Jerusalem

番外編

    - Weizmann Institute of Science

まとめ

まず、イスラエル国内がどんな雰囲気ってどんなの!という方は、僕が初めてイスラエルに2ヶ月過ごし感じたことを書いたまずこちらの記事をどうぞ。

このブログを通じて、イスラエルの大学・院の進学もしくは働くという選択肢に興味があるけど情報がないし、なんか怖いからやめておこうということが無くなれば良いなと考えている。そのため、良いところもダメなところも包み隠さず話したい。

「海外留学」と調べたら真っ先にアメリカやイギリスが当然出てくる。やっぱりどうしても留学というと英語圏での文脈で語られることが多いので、現状とにかくイスラエルの大学に関する日本語の情報が21世紀になったというのに、インターネットにすらあまりないので、現地の大学制度、大学の種類、入試制度などの基本情報からキャンパスライフなどを順に触れていく。


イスラエルの大学の立ち位置・大学は21歳から!?

イスラエルの大学を語る上で欠かせない要素としては兵役制度だ。なぜ大学なのに兵役の話をしないといけないのだと思うかもしれないが、イスラエルでは高校卒業後つまり18歳から男性3年間、女性も21ヶ月程度の兵役が義務となっている(少々の例外はあるそう)。

友人のイスラエル人から頂戴した写真。日本でいう大学生の年齢から厳しく鍛えられる。

兵役後は、ほとんどのイスラエル人が若くして国に仕えて失われた3年間を取り戻すかのように、インドや東南アジア、南米などの国へ半年から一年かけて旅をする。

大学に入るのはそこからで、大学一年生で23歳の人はたくさんいる。だから、どこの国の大学とも似つかなく少々大人びた雰囲気がある。そのせいか、部活動やサークル、グリーク・システムなどのソーシャルライフはあまり見かけない。


ヘブライ語なんて知らないよ!という前に
イスラエルの公用語はヘブライ語。二千数百年の空白の期間を経て、20世紀にイスラエルに住むユダヤ人の日常会話で使用される現代ヘブライ語という形として復活した言語。

上から順番に、ヘブライ語、アラビア語、英語。イスラエルの標識ではこのように三言語が使用されている。

普通の日本人は聖書でも勉強していない限りヘブライ語が分からない、というかもはや聞いたこともないもしくはアラビア語のと区別が付かないという人がほとんどだろう。僕も現地に着くまで見たことがなかったし、いまだにエイリアンの言語みたい見えて仕方がない。

基本的には、イスラエルの人は比較的多くの人が英語を話すことができるので、街中でコミュニケーションに困るということはあまり出くわさない。とはいえ、しっかり現地で住もうと思えば、やはり不動産の契約、宅配の受け取り、カードの作成契約などヘブライ語が分からないとかなり不便で僕自身も結構苦戦している。

そこで、イスラエルではヘブライ語を母国語としない人に向けてウルパン(Ulpan)という語学学校が高等教育機関やキブツや街中などで設置されており、移民や留学生が比較的早く現地の文化や生活に順応しやすいシステムが出来上がっている。ウルパンは各大学で夏季の集中講座なども提供しており、受講期間が観光ビザの有効期限内(3ヶ月、日本人は事前手続きは不要)であればウルパンで学習するために学生ビザなどを取得する必要はない。

それこそ、ヘブライ語やユダヤの文化に興味ありという方はウルパンを受講して、イスラエルを味わうといいだろう。そしてもちろん、一般的に大学ではヘブライ語が使用されている(大学院は英語だそう)ので、そのあと大学に進学するのもいいだろう。

だが、大体はヘブライ語というよりイスラエルに行ってみたいわという人だと思うので、ここでは各大学のインターナショナルスクールについて話を進めていく。


インターナショナルスクールの長所と短所

僕自身、英語圏じゃ無い土地でTel Aviv Universityのインターナショナルスクールに通っていて、やはり大変なことは多い。それでもイスラエルは交換留学などで短期で留学するのだけでもすごくいい環境だと思う。

イスラエルは地理的に宗教の聖地であり続け、政治的に常に議論の的であり、歴史的に嫌われ迫害されて来たユダヤ人の独特文化があり、近年では技術やスタートアップ大国としての評価を得ている。そんな話題が絶えず学ぶべきトピックがたくさんある環境に囲まれているおり、僕はイスラエルは学生の間に一度訪れておくべき、勉強する価値のある国だと思っている。

とはいえ、以下のような欠点はある。だが、ある程度は自分でカバーできるものだと思う。

1. イスラエル人との関わり

クラスルームにはイスラエル人はほとんどいない。そして、寮も大学の目の前にある。そういう環境にいると、どうしても寮と大学の行き来だけで終わってしまい、現地の人と関わる機会は多くない。意識的に外に出るようにしないと、せっかくイスラエルに来たというのにあまり収穫を得られないで終わるだろう。

2. 英語力の低下

これは英語圏以外の留学で一般的に言えることかもしれないが、英語を母国語とする人が少ないので、本物の英語を聞くことが少ない。その上、ヘブライ語はイスラエル でしか使用されていないので、習得したとしても今後使用する場面もない。だが、世界的に見れば英語を母語にしない人の方が多いし、ある程度のコミュニケーションやディスカッションができれば今後も全く問題ないと思う。そして、その能力はこちらの生活で十分身につくと感じている。

3. 開設学部の限定

これはかなりデカい欠点である。そもそも自分の興味のない学部で勉強するのは苦痛でしかない。だが、イスラエルの大学のインターナショナルスクール開設の動きはここ最近の動きなので、仕方のないことなのかもしれない。もう少し時間が経てば、提供されるプログラムが増えることは間違いないだろう。

ということで、よっぽどイスラエルに理由がない限り、正規で留学するのは僕からは積極的にオススメすることはできない。しかし、こちらの雰囲気のなかで勉強するのは、今までにない刺激的な環境が待っていることは保証しよう。


イスラエルの代表的な大学

(2017/4 赤野調べ )

イスラエルは小国だ。大学の数も8校と数十のカレッジしかない。その中でも、留学生が通うとすれば恐らくインターナショナルプログラムを提供している上記の主要4大学+University of Haifaになるだろう。ご覧の通り、私立がほとんどなく公立が大半を占めているので、授業料などは総じて同程度(120〜180万円)と考えてよいだろう。

それでは一つひとつ見ていこう。


Hebrew University of Jerusalem

Hebrew University of Jerusalemシオニズムの流れを組んで創設されたイスラエルで2番目に古い大学。初代委員会メンバーにはアインシュタインフロイトヴァイツマンなどの錚々たるユダヤ系アカデミアの名前が連なる。学風は宗教的でも正統派的でもなくリベラルだそうで、ユダヤ学、数学や経済学などが優れており、土地柄も反映しているのか主に人文学系が強みであるのが特徴。国内の博士課程の学生のおよそ1/3がこのヘブライ大学へ通っており、名実ともに質の高い教育を提供している。

ヘブライ大学には外国人留学生を対象として1956年にインターナショナルスクールが開設され、81年より現在に至るまでロスバーグ・インターナショナル・スクール(Rothberg International School)として学士課程と修士課程が設置されている(博士課程での英語での課程は今の所無いようだ)。ただし、学士課程に関しては、学位取得のためのプログラムは用意されておらず、ギャップターム、短期留学、交換留学を対象とした授業が設置されている。交換留学の際に鍵となる日本の提携校は、鳥取大学、創価大学、東京農業大学、日本歯科大学、早稲田大学学士プログラムに関しては、以下の授業が取得可能で、どちらかというと文系科目がメインだ。

・ユダヤ史、民俗学、宗教学

・中東、イスラム

・政治、国際関係

・イスラエル学:歴史、政治、社会学、文化史

・心理学、認知科学

・紛争と安全保障

・ビジネス、法学

・教育

・国際学

・アラブ語

学費寮費込みでは一年留学$18,000(約190万円)、半年で$10,000(約100万円)。ウルパンも取るなら追加で$2,000(約21万円)となる。入試の最低条件としてはGPAが3.0(B)、そして英語力がTOEFL 89以上もしくはそれに相当するもの。

一方で、修士課程に関しては短期留学と学位取得のプログラムが存在している。

前者に関しては、学士プログラムの科目に加えて、各STEM科目とファインアーツの授業がある。

後者の修士課程に関しては、詳しくはこちらを見ていただきたいのだが、一年プログラムと二年プログラムがあり、それぞれアントレプレナーシップ&イノベーション(MBA)、NPOマネジメント、人権国際法などに加えてイスラエルやユダヤに関するM.A.が多く提供されている。

授業料に関してはこちらは学位によってまちまちだが、概して短期留学は年間$12,000(約130万円)、学位プログラムは$17,000(180万円)程度。

その他にも、ヘブライ大学のRothberg International schoolはサマーコースが充実していて、政治学や国際関係、イスラエルの歴史に関心のある学生には魅力的な英語でのクラスがいっぱいあるのでおすすめ。難点は開講時期が7月の最初の週(合計1ヶ月)で、日本の大学の前期のテスト期間と重なってしまう点だ。

また、ポスドクや客員研究員などのポストもあるそうなので詳しくは公式サイトを参照していただきたい。(なぜか二個サイトがあるのでこちらにも目を通すことをオススメする→http://new.huji.ac.il/en


Tel Aviv University

Tel Aviv Universityはイスラエルの中心地であるTel Aviv北部にある国内最大の大学。数学、物理など理系分野を強みとしており、中でもコンピューターサイエンスは世界20位とトップレベルだ。また、考古学にも力を入れている。個人的な印象として、イスラエルの経済面での中心都会に位置していることより、まさに現在進行形で起こっているビジネスやテクノロジーに比較的アクセスが容易で、ビーチが近くにあるということもありオープンな校風だ。

僕が基本的にいる南国感漂うエンジニアリングエリア。ちなみに左の緑の自転車がイスラエルのシェアリングバイクのTel-O-Fun

インターナショナルスクールに関しては、約40年前にオープンされたという比較的新しいもので、今では15,000のインター生がいる(そんなにいたのか!)。ちなみに僕が所属しているB.Sc. Electrical and Electronics Engineeringは5年前に新規創設され、そこで初めての日本人だそうだ。やはり、新しい分、試験的な面も多く、苦労させられていることも少なく無い。日本の提携校は、京都大学、早稲田大学。まだ公表されていないが、提携先をどんどん増やしていく予定なので、お楽しみを。

Tel Aviv Universityにはバディシステムという制度があり、イスラエル人とインターナショナル生一人ずつがペアとなり、バディーとしてセメスターを通じてイベントに参加したり、一緒に勉強したりなどという制度があるので、せっかく現地に来たからにはイスラエル人と交流する機会としてオススメだ。

さて話をアカデミックに戻すと、こちらは学士から博士課程まで全ての学位プログラムが用意されている。もちろん交換留学制度もある。

ただし、学士号に関しては前述したようにかなり限られており、

・BA Liberal Arts (心理学、中東史、イスラエル・ユダヤ学、コミュニケーション、哲学、文学)
・B.Sc. Electrical and Electronics Engineering

つまり一般教養(通算三年)か電気電子工学(四年)の二択である。この時点でかなり門戸が狭い気がするが、今後更に理系分野がオープンしていくよう。交換留学に関しては、これらのプログラムで提供されている授業を好きにカスタマイズしていくイメージだ。

授業料は一般教養学部が年間$11,500(120万円)、電気電子工学部が年間$15,000(160万円)。それに加えて、寮費が年間$5,700(60万円)がかかる。入試の最低条件としてはヘブライ大学と同様、GPAが3.0(B)、そして英語力がTOEFL 89以上もしくはそれに相当するもの

修士に関しては、

・考古学、歴史、紛争、安全保障、環境学、政治学など9つのMAコースと植物学、生命科学の2つのMSコースが取得可能だ。またMBAのプログラムもあり、日本人はこちらにたまにいる印象だ。入試の最低条件としてはヘブライ大学と同様、GPAが3.0(B)、そして英語力がTOEFL 89以上もしくはそれに相当するもの。授業料は平均して年間$15,000(160万円)というところだ。

また、Tel Aviv Universityではインターンプログラムも充実しているので興味のある方は要確認。同じくウルパンやアラビア語研修もある。ちなみに、Tel Aviv Universityのキャンパス内には、大きなユダヤ人コミュニティの存在で知られているニューヨークに位置するNew York Universityの提携校として分校がある。

詳しくは大学公式サイトをどうぞ。

ちなみにうちの大学Tel Aviv Universityのプロモーションビデオがこちらです。嘘がなく、本当にこんな感じです!


Technion- Israel Institute of Technology

Technion- Israel Institute of Technologyはイスラエル建国前に設置された国内で最も古い大学で、「イスラエルのMIT」とも呼ばれている。1930年代にテクニオンは急成長を遂げ、ドイツのナチズムの脅威から逃げ出した数多くの科学者たちを受け入れる窓口の役割も果たした。コンピュータサイエンス、数学、物理などを得意とし、テクニオンには学士から博士までの工学系の学位を授与する16の学部棟と、非常に多くの学科(教育課程)がある。

大学が位置する北部のHaifa周辺には大学初のベンチャー、特に高度な技術を要するlife secinceセクターのスタートアップが非常に多い。また、地域との交流が盛んで、地元バーに科学者が一般人に対してレクチャーを行うScience In The Bar(結構イスラエルでは盛んな文化である)やDavidson Instituteという科学教育感をオープンしたりしている。

日本と筑波大学、東京工業大学、九州大学、高エネルギー加速器研究機構と提携している。僕もテクニオンを受験しようと思ったが、そこに立ちふさがった問題が学士課程のコースのオプションの少なさで、その結果受験を断念した。実際見てみると、インターナショナルスクールで提供されているのは、

BSc in Civil Engineering(土木工学)
BSc in Mechanical Engineering(機械工学)

の二つである。ちなみに注意書きに「プログラムをオープンするどうかは受験者数によります」とも書いてある。そして、入試の最低条件としては、GPAが3.0(B)、SAT Mathが700以上、そして英語力がTOEFL 85以上もしくはそれに相当するもの。授業料は年間$15,000(160万円)。それに加えて、寮費が年間$4,000(42万円)がかかる。

一方で、修士と博士課程はかなり充実している。建築や医学やMBAも含む工学系の学科がかなりの数がオープンされており、修士課程と博士課程を考えている方にはうってつけの素晴らしい環境であることは間違いない。詳しくはこちらのリストを見ていただくのが早いだろう。

修士課程の授業料と奨学金に関してなのだが、これがかなりややこしい。こちらのページによると、奨学金の割合が決められており、例えばリサーチトピックを決める前のマスターは奨学金の25%の額が月あたり926シェケル(約3万円)でその割合が成績や論文によって決められ、100%になると授業料全額免除になる。つまり、理論上では年間学費は926(シェケル)*4(100%)*12(ヶ月)=44,448シェケル(約145万円)だろう。しかし、こちらに触れられているがただ明言はされていないので事務所に問い合わせることをオススメする。実際に通っている人に聞いたのだが、卒論などの論文を提出し大学院に受け入れられた人に対しては、学費全額免除に加えて月11万ほど給付されるそうだ。サイトが少々分かりずらいが、入試のシステムはこちらに記載されている。

公式サイトはこちら(直近にリニューアルされたので、見れないページが多々あります)。


Ben-Gurion University of the Negev
University of Haifa

それぞれ熊本大学と早稲田大学、秋田大学しかないため、日本人が行く機会は極めて少ないかもしれない。

Ben-Gurion University of the Negevは南部の砂漠地帯の入り口の都市であるBeershebaにある大学。「イスラエルのスタートアップを知るにはBeershebaへ行くべし」と言われるほど実はR&Dセンターやスタートアップが存在している。

こちらのインターナショナルプログラムでは学士から博士まで学位プログラムがあり、修士、博士課程に関してはとても充実している印象を受ける。砂漠地帯という土地柄だけに砂漠学、水質学、環境学などが特徴的である。

詳しくは大学公式サイトを参照。

University of HaifaはTechnion同様イスラエル第三の街、Haifaにある大学。イスラエルの中でも北部はアラブ系の人口が高く、キャンパス内でもアラビア語がよく飛び交っているそうだ。工科大学であるTechnionとは対照的にこちらは政治学や国際関係などの文系分野が強みだ。

インターナショナルスクールに関してはそれほど充実していない印象。学位プログラムは修士課程のみで上記のいわゆる文系分野において開講されている。

詳しくは大学公式サイトを参照。


(芸術大学編)
Shenkar College of Engineering and Design

Shenkar College of Engineering and Designはテルアビブにある公立工芸大学。学部はファインアートとデザインとエンジニアリングというユニークな組み合わせの三つを提供しており、大学全体でMedia Lab的な雰囲気がある。専攻の中でも、ファッションはトップレベルで世界ランキング6位になっている。また産業やビジネス業界へ対してもR&Dの役割も担っている。

学士、修士課程共に基本的にはヘブライ語話者しか受け入れていないが、交換留学で学士では主にデザイン系の単位を、修士ではそれに加えてポリマープラスティックエンジニアリングの授業が取れる。残念ながら、日本の大学との提携は今の所無いようだ。

詳細は大学公式サイトを参照。


Bezalel Academy of Arts and Design, Jerusalem

Bezalel Academy of Arts and Design, Jerusalemは1906年に設立されたイスラエルで最も古い高等教育機関であり、公立芸術大学である。キャンパスはエルサレムのヘブライ大学の中に位置する。イスラエルにおいてのビジュアルアーツの出発点と言われている。日本の提携校は、東京藝術大学、ヒコ・ミズノジュエリーカレッジ学士、修士ともに交換留学制度があり

学士ではファインアーツ、写真、ビジュアル・コミュニケーション、ファッション&ジュエリー、ガラス工芸、建築などの単位が取得可能。修士では、

• Fine Arts and Photography (MFA)
• Industrial Design (MDes)
• Urban Design (MUrbDes)

の三つのコースが取れるようだ。

詳細は大学公式サイトを参照。


(番外編)
Weizmann Institute of Science

キャンパスの奇妙な形のコフレー加速器が一際目を引く。日本の高エネルギー加速器研究機構とも提携を結んでいる。

Weizmann Institute of Scienceはテルアビブから車で30分程度に位置するレホヴォトにある研究および高等教育機関。自然科学系の大学院のみである点が他の一般の大学とは異なる、つまり、学部教育は無い大学院大学。世界的にも有名な総合研究センターであり、約2,500名の科学者、博士号取得後のフェロー、大学院生、スタッフが働いており、2011年、学術誌『 サイエンティスト』が選ぶ「アメリカ以外で研究者が働きやすい場所」1位を獲得した。ノーベル賞2人のほか、チューリング賞受賞者を3人輩出している。世界の学生を対象として授業は全て英語で行われており、また学生は全員しかも全額奨学金を給付されているそうだ。数学、計算機科学、物理学、化学、生化学、生物学などの修士課程と博士課程を考えている方にはうってつけの素晴らしい環境であることは間違いない。

大学院の情報はこちらを確認するのが良いだろう。


まとめ

さて、今回イスラエルの大学の全体像と各大学について見てきたのをまとめると、

イスラエルでは比較的安全に生活でき、かつ学ぶべきトピックが多い。しかしながら、デメリットも多い(大多数は自分の行動次第で解決できる)。

これまで数々のユダヤ人による功績を輩出してきた隠れた名門校が存在し、ほとんどでインターナショナル生向けの修士、博士課程プログラムが提供されている。

外国人にとってベストといえる学習環境では無いが、徐々に英語での教育制度が整ってきている。また、その気があればヘブライ語教育も容易に受けられる。

どうでしょうか、イスラエルの大学少しは理解していただけたでしょうか?

【後編】はイスラエルの大学入試制度や奨学金事情とキャンパスライフなどについてお届け!

*本記事に記載されている情報は作成された2018年3月時点のものです。