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米イスラエル共同ファンド・BIRDの合計投資金額$7.75Mの9つのプロジェクト

*本記事はNoCamels-Israeli Innovation News で作成されたものを日本語に翻訳しています。

 

今回はイスラエルの技術・経済進歩を語る上では欠かせない、BIRD Foundationの本年度$7.75Mを投資することが決定したアメリカ-イスラエル間のジョイントプロジェクト9つを紹介する。プロジェクトはIsrael Innovation Authoritythe US National Institute of Standards and Technology (NIST)の下で今後動いていくこととなる。

 

BIRD Foundation (The Israel-United States Binational Industrial Research and Development Foundation)とは1977年にアメリカとイスラエル政府共同で設立されたファンド。研究開発を通じて双方の産業発展と利益追及を行うためにパートナーシップ締結や投資などを行う。基金は約$110M (125億円)あり、今までに900のプロジェクトに$300M (340億円)投資を行い、成功したBIRDのプロジェクトは合計で約10B (1.1兆円)の売り上げを上げていると見積もられている。

イスラエルがスタートアップ大国と呼ばれる所以の一つにユダヤ人人口がイスラエルに次ぐアメリカへのマーケット進出の多さがあり、BIRD Foundationの存在もこの動きに大きく貢献している。

 

ここではイスラエルスタートアップを中心に紹介していく。

 

環境と水分野

食品加工工場向けの革新的な嫌気性排水処理技術の開発

 

AgRobics: 2006年設立、拠点はShefa Amr, Israel。2008年1月に1ラウンドの資金調達、額は不明。

当初はAutoProbeとして起業され、農場の土壌のサンプリングデータ収集やマネジメントなどの農業ソリューションを提供するサービスを行なっていたが、現在では廃水処理技術へとピボットしたよう。エネルギー効率を向上させ、ハイスピードかつ安定的なバイオガス生成を伴う排水処理に取り組む。

 

ライフサイエンス分野

人工知能による家庭用皮膚ガンの検査デバイスの開発

Axon Vision: 拠点はTel Aviv, Israel。2017年6月にシードラウンドで$1.5M資金調達。

自国防衛(ホームランドセキュリティー)、スマートシティやその他の産業に向けてのAIビデオアナリティクスを開発している。

 

 

農業技術分野

農場での観測データに基づく、殺虫剤散布の変数などを決定するシステムの開発

 

Farm Dog Technologies: 2015年設立、拠点はTel Aviv , Israel 。5ラウンドで計$1Mの資金調達。直近では2017年6月にシードラウンドで€100K資金調達。

農場の害虫駆除や感染症対策に使用される農薬の選択、購入、使用、散布など全てのプロセスを統一し、効率化させるアプリを開発している。

 

穀物のストレス検知と防止システムの開発

 

Tarania: 2014年設立、拠点はIsrael 。3ラウンドで計$9.5Mの資金調達。直近では2017年5月にシリーズAで$7.5Mの資金調達。

航空写真、地上のセンサー、衛星写真や天気予報などのデータセットより深層学習を使用して、穀物の疾病やそれによる不作などを予測、防止する。

 

エレクトロニクス・ソフトウェア分野

ユーザーのモバイル情報と高解像度衛星画像を集めるシステムの開発

 

ImageSat Isarel: 1997年設立、拠点はIsrael 。資金調達の情報は不明。

ISIは宇宙空間でのミッションや情報処理などに必要とされる技術ソリューションを提供している。主には、地球画像の同時処理、リアルタイム衛星情報伝達、宇宙でのリポートの送受信やそれに必要とする地上の専用機械の建てつけなど幅広い。

 

セキュリティー分野

公共安全のための同時ビデオ分析ソフトの開発

 

こちらはアメリカ合衆国の電子・通信機器メーカーであるMotorola SolutionsのイスラエルR&Dセンターである。

 

 

ヘルスケアIT分野

増加の一途を辿る高齢人口層への最適なケアを実装するための人工知能の開発

 

MyndYou: 2016年設立、拠点はTel Aviv , Israel 。2017年9月にシードラウンドで資金調達、額は不明。

高齢者の自立と脳の若々しさを維持するためにデータドリブンのパーソナライズされたケアを提供する医療従事者をサポートするAIベースのプラットフォームを開発している。

 

通信分野

ナノ衛星用の高帯域通信の開発

 

NSLComm: 2009年設立、拠点はRamla , Israel 。2ラウンドで計$9.3Mの資金調達。直近では2018年3月にシリーズBで$6.3M資金調達。

世界で初めてのナノ衛星を用いたグローバル通信システムを開発している。主力プロダクトである半径55cmのアンテナを持つThe Main Reflectorは従来のリフレクターの欠点を補い、更に軽量化、安価に製造する。当機のサブリフレクターにより電波の送受信を正確に、パワーを500倍にすることが可能。アフリカ大陸へWiFiを届けるなどの事業を行なっている。

 

 

 

5Gセルラー通信プラットフォームの開発

 

RunEL: 2015年設立、拠点はRishon Lezion , Israel 。資金調達の情報は無し。

5GフィジカルとMACレイヤーSWモジュールの開発を行う。

 

全ての承認されたプロジェクトのリストはこちら

[NoCamels-Israeli Innovation News の原文を読む]

[参考資料:CrunchBase]