IoT・センサー

四肢切断後の神経障害によって失った触覚を甦らせるテルアビブ大学の最新技術

テルアビブ大学フライシュマン工学部生物医学工学科のBen M. Maoz博士を中心として新たに開発された画期的な技術は、指などの損傷した手足の神経に小さなセンサーを埋め込み、健康な神経に直接接続することで、手足が物に触れるたびにセンサーが作動し、機能している神経に電流が流れ、触った感覚が再現される。将来的に、臨床試験が行われることになれば、体内のどこにでも埋め込むことができる可能性がある。本研究は、学術誌「ACS Nano」に掲載された。

近年、義肢装具の分野では、損傷した神経の代わりにセンサーを埋め込むことで、手足の感覚を失った人のQOL向上が期待されている。しかし、既存の技術には、製造や使用が複雑であることや、バッテリーなどの外部電源が必要であることなど、いくつかの重大な欠点があった。今回、テルアビブ大学の研究者たちは、トリボエレクトリックナノジェネレーター(TENG)と呼ばれる最先端の技術を用い、複雑な埋め込みプロセスや充電を必要とせず、健康な神経から直接得られる電流によって触覚を回復させる小さなセンサーを工学的に開発し、動物モデルでテストを行った。

Figure 1Cited from ACS Nano 2021, 15, 7, 11087–11098

上記の実現のために、ユニークなセンサーデバイスも開発した。こちらを用いることで、指先の下にある損傷した神経にセンサーを埋め込むと同時に、正常に機能する別の神経に接続することで、指の触覚の一部を回復させることができる。このセンサーは、摩擦を感知するたびに自ら充電することで、電気や電池などの外部電源を必要としない。

このデバイスは0.5cm×0.5cm以下の小さな2枚のプレートで構成されており、プレート同士が接触すると、電荷が放出され、正常な神経に伝わる。損傷した指が何かに触れると、通常の触覚と同じように、弱いタッチには弱いテンション、強いタッチには強いテンションというように、デバイスに加えられた圧力に応じたテンションが放出されることで、触覚が蘇ったかのように感じることができる。

近い将来この技術が、四肢切断や負傷により手足の神経の触覚を失った人々に希望を与えるかもしれない。

[The Jewish Pressの原文を読む。]