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イスラエルのデジタルヘルスが最先端と言われる理由

イスラエルのデジタルヘルスが世界的に見ても
”最先端”と言われる理由の1つには
「個人の医療データが出生時から生涯にわたり蓄積されている」
という事実がある。

医療データの活用はデジタルヘルスを推し進める上で
避けては通れないものの1つであり
日本でも医療費の削減をはじめ
様々な用途での活用が試みられている。

イスラエルでは1990年代半ばから30年近くに渡り
医療データが、電子データとして
統一的な基盤上に保存され、運用されている。

このデータ収集には保険制度が深く関わっている。

イスラエルも日本と同じく“国民皆保険制度”があり
医療サービスは4つの健康維持機構(HMO:Health Maintenance Organization)を通じて提供される。

ここでは加入者に対して傘下の医療機関で基本的な医療サービスを提供しており
これらは非政府・非営利で運営されている。
このHMOがデータ収集の役割を担っており
保険制度がデジタルヘルスにも一役買っているというわけである。

このHMOの仕組みは「データの収集」だけではない利点も存在するが
それについては別の記事で触れることにする。

これらHMOのうち最大の加入者数を誇るClalit(クラリット)には
実に470万人とイスラエル総人口の半数以上が加入しており
日々医療情報が収集されて様々な活用が検討されている。

そんな中、医療者向けにAIによる
データ分析用プラットフォームを提供しているLynx MD社は
Lynxのプラットフォームを介してClalitの
広範な医療データへのアクセスを提供するパートナーシップ契約を締結した。

これによりClalitはLynx MD社のプラットフォームを介して
匿名化された医療データを
スタートアップ企業や学術研究者と安全に共有し
研究開発を促進することができる。

「イスラエルがこれまで蓄積してきた医療データは
医療サービスの改善に繋がる新たなソリューションを生み出すためには欠かせないものです。」と
ClalitHealthServices社の最高イノベーション責任者で
ClalitResearchの創設ディレクターでもあるRanBalicer教授は述べている。

「Clalitはイスラエルで最大かつ著名なHMOであり
イスラエルの医療制度の改善と進歩に貢献できる研究開発に従事しています。
ClalitとLynxMDのパートナーシップ契約は、患者情報を保護しつつ
効果的な方法で研究を実施するための基盤を提供します。」と
Clalitデジタルシステム担当副社長であるLioraSchechter氏は付け加える。

今回、パートナーシップを締結したLynxMD社は
2019年にOmer Dror氏、Ofir Farchy氏、RobertEisdorfer医師によって設立された
デジタルヘルススタートアップです。

LynxMD社はクラウドベースのプラットフォームを提供することにより
医療機関に医療データへのアクセス権を提供している。
そこではプライバシー保護に準拠した方法で、医療記録、画像情報、遺伝子情報などの
非構造化データも提供している。

このプラットフォームを使用すると、医療機関は臨床データにアクセスでき
医療分野の研究者や開発者は実世界の医療データに簡単にアクセスできる。

データによる裏付けが必要不可欠な医療分野において、Clalit社が収集してきた医療情報を匿名化し
LynxMD社のプラットフォーム上で閲覧できることは、イノベーションを促す最適な方法と言える。

LynxMD社のCEO兼共同創設者であるOmerDror氏は、次のように述べています。

「今回のパートナーシップをきっかけに、これまで以上の規模の医療分野での
イノベーションを可能にする基盤を開発し、提供することができるようになります。」

※こちらの記事は複数の記事を参考に作成しています。引用元は下記。

https://medical.jiji.com/topics/510

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/4b9e4934cca92480.html

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/09/3acda6b92d02f496.html

https://nocamels.com/2022/06/healthcare-data-clalit-lynx/

https://israeru.jp/business/hmo